2026年9月16日、ITESビジネスサロンを開催しました。今回のテーマは「SES営業の教育に関する各社の取り組み」です。
第二部のディスカッションでは、参加者が5つの班に分かれ、自社の事例と、いま抱えている課題、その対策について意見を交わしました。
営業の育成は、どの会社にとっても「正解が見えにくい」テーマです。だからこそ、他社のリアルな工夫や悩みを聞ける場として、各班とも活発な議論となりました。
本レポートでは、その内容をダイジェストでお届けします。
A班|目標は「与える」のではなく「一緒に考える」
A班で中心になったのは、目標管理とモチベーションの話題です。
SES営業は、数字へのプレッシャーや日々のマッチング業務の積み重ねで、モチベーションが下がりやすい仕事です。
これに対して、営業目標・キャリアプラン・年間計画を本人と一緒に策定し、月次目標も中長期の視点から一緒に考える、という取り組みが共有されました。定期的な振り返りの時間をあらかじめ設定しておくこともポイントです。あわせて挙がったのが、採用段階でのカルチャーフィットです。
面接の時点で会社のスタンスや意向をしっかりすり合わせ、共感してくれた人を採用する。教育の前に、入口でミスマッチを防ぐという考え方です。
B班|働き方に合わせたコミュニケーションと、教育の属人化
B班では、ワークスタイルごとのコミュニケーションの工夫が共有されました。
フル出社の会社では、飲み会なども含めた関係構築を土台に、商談へのアプローチにつなげています。
一方、フルリモートの会社では、情報共有と壁打ちの体制を強化し、朝・昼・夜の1日3回、打ち合わせを実施しているとのことでした。
新人育成のフローとしては、1ヶ月の座学のあと、2ヶ月目から営業同行に入る事例が紹介されました。
課題として挙がったのは、3年以上の経験者の退職と、資料不足や放任による教育の属人化です。SES営業の基本フローは各社でほぼ共通しているため、属人化を防ぐマニュアル整備を検討したいという声がありました。一方で、新人教育の明確な解決策はまだ見えにくい、という率直な意見も出ています。
C班|まずはビジネスの基本。そして最も難しいヒューマンスキル
C班では、新人研修の中身に踏み込んだ議論が行われました。
座学では、誤字を減らす、口調、報連相といった、ビジネスパーソンとしての基本を強めに教育しているという事例が共有されました。
また、派遣の基本ルールレベルのコンプライアンスをしっかり押さえること、技術知識は細かく網羅するのではなく「基本的な構造の大枠」と「ビジネスの流れ・商流」の理解を優先すること、という方針も紹介されました。
課題は2つです。
1つ目は、採用時にスキルやスタンスを見極めたいものの、昨今の採用難でそれが難しくなっていること。
2つ目は、ヒューマンスキル・ポータブルスキルの教育が最も難しく、本人がもともと持っている素養に大きく左右されることです。
D班|フィードバックの仕組み化と、話しやすい環境づくり
D班からは、すぐに真似できそうな具体策が複数共有されました。
1つ目は、フィードバック会議の設置です。営業本部長が主導し、若手営業が新規の情報交換で得た内容を会社ごとにまとめてメールで提出。4〜5件たまった段階で会議を開き、「こういうことを聞くと良い」といった実践的なアドバイスを行っています。
2つ目は、環境づくりです。営業ルームが無音で会話しづらかったため、静かなBGMを流して話しやすい雰囲気をつくったという事例が紹介されました。
3つ目は、チーム編成です。20代と40代のように年齢が離れすぎる組み合わせを避けることで、管理やコミュニケーションを円滑にしています。
課題として挙がったのは、中途採用営業の育成です。前職のスタイルを崩せないまま突っ走り、成果が出ないケースがあるとのこと。自社のスタイルやビジネスモデルにフィットする人材を、採用の段階で見極めることが不可欠だという結論になりました。
E班|AIでナレッジを引き継ぐ。合わなかったときの出口も考える
E班では、AIの活用が話題になりました。
生成AI(Claude)を使って先輩社員のナレッジをデータ化し、アウトプットしたものを新人にインプットさせることで、学習効率を高めているという事例です。また、「案件側」と「人材側」で担当を分けるという、業務の切り分けの工夫も共有されました。
一方で、ナレッジをインプットさせても、本人のベースと合わない場合があるという限界も指摘されました。その場合は伴走しながら育成を続け、それでも合わなければ、他事業部への異動や、知人の会社を紹介しての転職支援まで行うとのことです。会社の文化や領域によって異なるものの、領域や業務内容など、視点を変えてアサインを調整することの大切さも語られました。
全体を通じて見えた3つの共通テーマ
5つの班の議論を並べてみると、共通する関心事が3つ浮かび上がりました。
【運営事務局より】
今回のディスカッションでは、SES営業における新人教育や育成、定着に向けたさまざまな取り組みが共有されました。
営業の教育に万能の正解はありませんが、他社の取り組みには、自社ですぐに試せるヒントが数多くあります。今回の内容が、皆さまの今後の施策検討の参考になれば幸いです。